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せっかくのFFオンリーなのに、めぼしい物(新刊とか)が何にも無いので、
無料配布本を作りました。
サイトも冊子も全くの同一内容です。
文章のラフスケッチ(?)の様な物なので、練れていないです。
つたないですが、楽しんでいただければ幸いです。


※英雄の扱いがちょっとかわいそうです。ご注意下さい。












女の子が白くて長い廊下をとぼとぼと歩いていた。
お母さんの言いつけに従い、嫌な大人達から逃げてきたのはいいものの、
小さな子供にはこの建物は広すぎて、結局迷ってしまったのだ。
同じ様なドアがいくつも並び、ドアを開けたその先の部屋も、みんな同じ様な作りだった。
女の子、エアリスは泣きそうだった。
お母さんの言いつけを守れなかったんだ、あたし捕まっちゃうんだ、と思い始めたその時、
いかにも出口に通じてそうな所を発見した。
ガラスの自動ドアの向こうは、壁、天井一面に青空と白い雲がペイントされている。
床には丸がけんけんぱの形に並んでいる。
奥には丸い窓の付いたドアも見える。
いかにも子供の気を引きそうな雰囲気が漂っている。
何か楽しげなものを感じエアリスは自動ドアの向こうに足を踏み入れた。
一方通行のドアとも知らずに。

床の丸で律儀にけんけんぱをして、辺りを見回せば、そこは幼稚園とか保育園とか、
そういう感じがした。
パステルカラーのドアには、丸以外にも三角とか、菱形とか、色んな形の窓が付いている。
そのわりには、しーんとしていて、子供の姿はおろか、誰もいないようだった。
エアリスはドアの窓から一つ一つ部屋を覗いていったが、本当に誰もいないみたいだった。
いや、いた。
エアリスよりも年上のお兄ちゃんが、散らばった本やおもちゃの中に。
髪が短いので、男の子だと思った。
お兄ちゃんは背中をこちらに向け、本を読んでいるようだった。
このお兄ちゃんもあたしとおんなじなのかな。
出口教えてくれるかな。
エアリスは男の子のいる部屋のドアを開けた。
エアリスが入ってきたのに、男の子はこっちを向かなかった。
銀色の髪を丸く切りそろえている。
大人の目から見れば、育ちの良さそうな格好をしている。
少し考えれば、こんな広いところに大量のおもちゃに囲まれ、子供が独りでいるというのは、
「?」なのだが、そこまでエアリスにわかるはずもない。
あまりのおもちゃの多さにエアリスは驚いた。
テレビのCMでしか見たことのない、どんなにねだっても絶対買ってもらえない、
あこがれのおもちゃの全てがそこにあった。
燦然と微笑む色鮮やかなキャラクター達。
自分と同じぐらいの大きさのぬいぐるみ。
ベ○ツそっくりの一人乗り自動車。
壁の本棚には絵本や図鑑やマンガがぎっしり。
『ドラ○もん』がずらりとそろっている。『ドクタースランプアラ○ちゃん』もある。
机の上には絵が描きかけのまま置いてある。ぬりえもある。
何色入りだか分からないクレヨンや色鉛筆やマジックが散らばっている。
カラーホイルや、見たことない柄の折り紙もある。
これらを独り占めしているのだ。
銀色の髪で、猫目のお兄ちゃんは。
おもちゃで遊びたい!
マンガを読ましてもらいたい!
何でも持っているこのお兄ちゃんと仲良しになりたい!
一緒に遊びたい!
「ねえ、わたしとあそんで?わたしエアリスっていうの。」
なんら臆することもなく(子供だから当たり前か)エアリスは男の子に声をかけた。
この男の子がどういった経緯で生まれた子なのか知るはずもない。
それでも男の子は図鑑に目をやったままだった。
エアリスの言葉が聞こえない風だった。
「おにいちゃんいっしょにあそぼうよ。」
まだ図鑑を見ている。
「なんのごほんよんでるの?」
エアリスは図鑑を覗き込んだ。昔の武器や鎧が載っていて、難しそうな文も並んでいる。
「こんなつまらないごほんよまないでいっしょにあそぼうよ。」
男の子から図鑑を奪い取って放り投げるという実力行使に出た。
「やめろよ!!」
そこで初めて男の子は声を発した。が、きつく厳しい口調に、
エアリスは泣き出した。
無視された挙句突然これでは、当然だ。
「うえええええー、お兄ちゃんがいじめたー!!」
何事も無かった様に、男の子は再び図鑑を眺め始めた。
その状態がしばらく続いた。
「うるさいな、静かにしろ!」
今度は男の子の方が声を上げた。きつい口調だ。
しゃくりあげていて、泣き止もうとしていたエアリスは、
また怒られてしまってどうしようもなくて、再び泣くしかなかった。
年下の子がびーびー泣いているんだから、慰めてやれよ、とか思うのが普通だが、
生まれてからずっと大人の中で育ったこの男の子に、それを期待するのは無理だろう。
この男の子にとって、ほぼ同年代の子供に会ったのはこれが初めてなのだから。
扱い方、というか接し方がわからないのだ。
予想に反した反応を見せるエアリスに困り果てた男の子は、
インターホンで世話役の大人を呼ぼうかとも思った。
だが、独り遊びのこの楽しい気分を、
いつもの白衣の大人達に邪魔されたくない気持ちの方が勝った。
今日は珍しく、定時の見回りの大人達がやってこないのだ。 「静かにしろってば!」
男の子の言葉に、エアリスは泣きたいのを我慢して、身体を硬くした。
ぶたれる!とさえ思って、ぎゅっと目をつむった。
「よし、いいぞ。」
どうやらぶたれないようで、エアリスは目を開けて、そおっと男の子を見上げた。
「おにいちゃんとあそびたいからしずかにしてる。しずかにしてあそぼうよ。」
このやりとりに、男の子はすっかり図鑑に飽きてしまっていたので、
「うんいいよ。」
とつられてつい答えてしまった。
こうなればエアリスのペースである。
「あたしあれであそびたーい。」
とエアリスが早速指を指したおもちゃは、『ドラ○もんドンジャラ』である。
おもちゃを見回した時、真っ先に彼女の心をつかんだのだ。
テレビから流れてくる『ドラ○もんドンジャラ〜』のあの声が、
エアリスにはしっかりと刷り込まれていたのだ。
ドラ○もん関係のいかにも楽しそうなゲームではないか。
CMでやってる、キャラクターがそろってずらっと並べるあれを、エアリスはやってみたかった。
(ちなみに作者はドンジャラを知りません。この先想像で書いてます。
4人じゃないと遊べないというツッコミがありそうだ)
『ドラ○もんドンジャラ』は棚の上にある。が、エアリスは手が届かない。
椅子に上がって男の子が取ってくれる。これも男の子にとっては初めてのことである。
二人は床に散らばっているおもちゃや本を蹴散らして、ドンジャラを広げた。
ドラえ○んのキャラクターの絵柄のブロックをそろえるというルールは、
トランプにも似て、大した説明無しにエアリスにも容易にわかった。
エアリスは、初回は負けた。2回目も負けた。
が、3回目からは、勝ち続けた。CMを真似して、じゃらっとブロックをそろえて出す。
勝ち出すと面白くて止まらなくなる。
逆に男の子は今までに無い不思議な気分だった。
何回か世話役の大人達と『ドラえ○んドンジャラ』で遊んだことはあるのだが、
負けるのは初めてだった。
大人達が手加減して負けてやっているのだということを男の子は知らない。
負けが続くと、えもいわれぬ気持ちになってくる。
指先がチリチリする。
顔と目の奥が熱くなる。
女の子、しかも年下の子に負けるなんて、悔しい。
エアリスがふと男の子の顔を見ると、真っ赤になって
ぽろぽろと大粒の涙をこぼしている。
あたし、お兄ちゃんを泣かせちゃったのかなあ…かわいそう、もう、止めようか・・・

二人がそれぞれ
「もうやめよう」
「勝つまでやめない」
と言おうとしたところへ
「古代種の娘の方を見つけました!」
「セフィロスの部屋です。確保しました。」
白衣の大人達が突然入ってきて、エアリスを抱きかかえると、あわてて部屋の外に出ていった。
男の子はそれを呆然と見送ることしか出来ない。
廊下の方から、ギャーとか、やだーとかの女の子の叫び声が聞こえていたが、
やがて遠ざかっていった。


本来私は、子供時代のエアリスとセフィの接点は無かったと考えています。
この話は、FF7のキャラで、麻雀やったら誰が一番強いか、
というくだらない発想からきています。
セフィってギャンブルやりそうもないんだけど、
(宝条がギャンブル嫌悪してそう)
子供の頃にお遊びでならやったんじゃないかな〜と思って、こうなりました。
つたない文だけど、同年代の子と遊ぶことのない、特殊な環境下で育ったって
わかってもらえるとうれしいな。
遊んでもらえるけど、相手は大人だし、宝条の意向もあって、絶対
セフィのご機嫌をうかがってたと思うのね。
遊びとはいえ、セフィが負けるなんてとんでもないこと。
そんな中、手加減しない対等な遊び相手というのは、状況を考えて、
エアリスしかいないんじゃないかと。
エアリスが母と共に神羅に捕まって、研究所に連れてこられて、そこで偶然セフィと出会い、
ドンジャラで遊んだ、そういう設定で書いてます。
ポイントはやっぱり、エアリスに泣かされる英雄の幼い頃の姿、かな。
あと、大人になった二人は、当然この事を覚えちゃいません。

くだらない話ですが、お付き合い下さりどうもありがとうございました。

2004年6月  雪月 華




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